百済の面影・扶餘の旅

扶餘を楽しむ(イベントとお祭り)

恩山別神祭:은산별신제

  • 場所扶餘軍恩山面一帯
  • 開催時期毎年3月
  • 問合せ扶餘郡庁文化観光課(041)830-2244
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別神祭(ビョルシンジェ)とは、全国にいくつかある郷土神の神事だが、この恩山別神祭は、土俗信仰を土台に祭典に軍事的な意識が加味された儀式行事としては特異なもので、かつては20日間にわたって数万の群衆が全国から殺到したほどの代表的な別神祭である。

村では祭祀に先立って、で総責任者や役員を選出するが、選ばれた人々は神聖な寺院の横を流れる清い川で身を清め、病死者の出た家や商店街をさけ、魚や肉類などを一切取らないだけでなく、期間中は他人とのい争いをしてはならないなど、厳しいタブーを厳格に守る。現在は簡素化され、大祭の際には6日間実施している。

恩山別神祭の由来については、次のような伝説が伝わっている。

<恩山別神祭の伝説>
遥か昔、この地方に疫病が流行った。どんな薬も効かず日々多くの人が死んでいった。村を捨てる者も続出し、人影も少なくなるほどであった。ここに住む、九十を越える老人が昼寝をしていたところ、夢の中に金色の兜をつけた甲冑姿の将軍が白馬に乗って現れてこう言った。
「私は百済を守っていた将軍である。ここは我々が国の光復のために死を顧みず戦った場所であり、多くの愛国兵士たちが恨みをもって埋まっている。お前がこれらの遺骨を収拾し、日当たりの良い場所に埋葬してほしい。ならばその見返りとしてこの疫病を追い払ってやろう」。
老人がその言葉を受け入れると将軍は、3年ごとに祭祀を上げてくれることを頼み、「これでようやく部下たちも私も心おきなく休むことができる」と言うと白馬に乗って忽然と消えたのであった。
次の日、老人は村の若者を集めてこの言葉を伝え、百済光復軍の遺骨収拾に乗り出した。不思議なことに、老人が指し示す場所を掘れば間違いなく遺骨が現れた。かくして猛威をふるった疫病もすっかりこの村から消えてしまったという。この時から恩山地方では夢に現れた将軍との約束を裏切ることなく、きちんと祭祀を執り行いながら今日まで続けている。

(2011年10月1日掲載)

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